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「学校を休んだと思えば」
背後でのやれやれといった様子の声に振り返ると、清明先生がそこにいた。
その隣には丙もいた。珍しい組み合わせだ。
「やはり自分のお供にしておけばよかったな」
驚くオレに対し、丙は淡々と言う。
「先生。丙……」
「カバンくらい持って帰れ」
「わ、悪い」
丙から受け取る。なんか頭に血がのぼっていたようだ。
「あの犬っころはなに考えてるんだ? セツを置いていけば、追いかけてくることなんて目に見えてるだろうに」
ああ、その通りだよ。
「閏、妖界ってどこにあんの?」
「ちょっと」
余計なことをと丙を睨みあげ、その猫目のままこちらを向く。
「あんたが行けるようなとこじゃない」
「舐めんな。オレは鬼だぜ。お前らのような中途半端な妖と一緒にすんな」
「……生意気。半分だけのくせに」
オレも半端といえば半端だな。
「私は連れていけないからね。春海にはあんたをここから出すなと言われたしさ、あんたが妖界に行くなんて蟻地獄の巣に自ら入り込むようなもんよ。正直私には、あんたを護りきれる自信がないわ」
自分ひとりならすぐにでも追い掛けたんだろうな。
「珍しく正直だな」
「うるっさいわね。当然人間の二人は連れて行けないわよ」
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