七.草木萠動

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 オレが走ってきて帰ってきたのにすぐに追い付いたということは、先生は丙を乗せて車で来たに違いないのだ。 「出すしかないだろ」 「うわ、助かる!」 「その制服を着てる限り、お前らはうちの生徒なんだよ。どんなに暴れようが犯罪犯そうが妖怪になろうがな」  だったら春海も間違いなく彼の生徒だ。先生には生徒を護る義務がある。 「オレも行くからな」 「丙はオレらを祓うのが御家業だろ? 御味方致していいのか?」  半分からかいを交えて聞く。 「お前は半分人間だからな。人間を妖から護るのが武中家の使命だ」  丙はいちいち格好いいな。  目的の神社に到着した時には、日はとっくに沈んでいた。 「雰囲気あるなぁ」  そこには木々に囲まれて朱い鳥居がひっそりと佇んでいる。その先は真っ暗でなにも見えない。 「か、懐中電灯ないの?」  そう震え声で言う閏の目が光るので逆にこっちが怖い。  負傷中のノーモンは家に留守番させた。 「なんか肝試しみたいだな」  若い頃を思い出してだか知らないが、ワクワクしないでくれよ、先生。あんたはいいよな、死霊に慣れ親しんでいるんだから。  朱い鳥居をくぐり森の小道を進んでいく。パキっと小枝を踏んだら、近くの木から鳥がバサバサと飛んだ。鳥目なのにごめんよ。     
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