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オレが走ってきて帰ってきたのにすぐに追い付いたということは、先生は丙を乗せて車で来たに違いないのだ。
「出すしかないだろ」
「うわ、助かる!」
「その制服を着てる限り、お前らはうちの生徒なんだよ。どんなに暴れようが犯罪犯そうが妖怪になろうがな」
だったら春海も間違いなく彼の生徒だ。先生には生徒を護る義務がある。
「オレも行くからな」
「丙はオレらを祓うのが御家業だろ? 御味方致していいのか?」
半分からかいを交えて聞く。
「お前は半分人間だからな。人間を妖から護るのが武中家の使命だ」
丙はいちいち格好いいな。
目的の神社に到着した時には、日はとっくに沈んでいた。
「雰囲気あるなぁ」
そこには木々に囲まれて朱い鳥居がひっそりと佇んでいる。その先は真っ暗でなにも見えない。
「か、懐中電灯ないの?」
そう震え声で言う閏の目が光るので逆にこっちが怖い。
負傷中のノーモンは家に留守番させた。
「なんか肝試しみたいだな」
若い頃を思い出してだか知らないが、ワクワクしないでくれよ、先生。あんたはいいよな、死霊に慣れ親しんでいるんだから。
朱い鳥居をくぐり森の小道を進んでいく。パキっと小枝を踏んだら、近くの木から鳥がバサバサと飛んだ。鳥目なのにごめんよ。
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