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先頭に清明が、続いて閏にがっちり引っ付かれたオレ、そして殿には丙がつき、道を進む。
丙はさっきっから黙りだが、なにかぶつぶつ呟いているようにも見える。まさか怖がりだとか言わないよな。
石造りの鳥居が見えてきた。その先に建物がある。
先生が呟く。
「いるな、これは」
「な、な、なに!? なにがいんの!?」
猫目のくせに暗いところ苦手なんだな。
「おいおい、閏ちゃん。お前さんは妖だろー」
「う、うるさいわね!」
妖のくせに幽霊がダメだったりもするのか?
『煩いのわ、お前らよ』
「え?」
今ここにいるメンバーのものではない何者かの声がした。
「なに? なに? なに!?」
閏がきょどきょどとする。見開いた目が光ってるのでホント怖い。
『そこから先に入るな』
どこから聞こえるのだろう。そこから先に、ということは前に進むなという意。進むべき先には、石造りの鳥居がある。
そこか!
鳥居の先に緑色の光を帯びたなにかがあった。
「きつね?」
左に巻物を咥えた狐の像があり、右には宝玉を咥えた狐の像があった。それが奇妙にもぼうっと淡く発光している。
『この先は我らが主、儀鳳様の領域。お前らのような下賤の者が入ってはならぬ』
『今すぐ去れ!』
驚いた。あの狐の像が喋ってるようだ。
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