9人が本棚に入れています
本棚に追加
彼はオレがここに訪ねてきた理由を知っていたようだ。
「そうです」
「何故に?」
「護られてばかりじゃいたくないから。オレにもミックスとしてのプライドがある」
みんなしてオレを護ろう護ろうとオレより前に出る。春海も、丙も、閏にノーモンまでも。
唯一背中を押してくれるのは先生だけだった。だから憎めないんだ。
「……なるほど。十二の妖の洗礼を受けたというのは強ち嘘ではなさそうだな」
「?」
あのオレの根っこの部分を創ったというアレが、どれ程オレに影響を与えているのかなんて知る由もない。
内容よりも、人でもない妖でもないオレの今後を憂い、集まり祈ってくれたことがオレの糧になってる。
護られるばかりのみっともない奴に成り下がりたくない。
「そこの鏡ケ池から行くといい。そうすればオレの妖気がつく」
闇の中にぽうっと浮かぶ小さな池。
ごく簡単なことのように言ってくれる。
「付いて来てはくれないのか?」
「なんだ、付いて来てほしいのか」
「……」
護ってもらうつもりはないんだが、なんというか。
「さっきまでの威勢はどうした。怖気づいたか?」
「そりゃあ初めての世界に行くんだから怖気づくさ」
本音が口を出る。
妖に絡まれる可能性は大だし、迷子になるかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!