七.草木萠動

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 彼はオレがここに訪ねてきた理由を知っていたようだ。 「そうです」 「何故に?」 「護られてばかりじゃいたくないから。オレにもミックスとしてのプライドがある」  みんなしてオレを護ろう護ろうとオレより前に出る。春海も、丙も、閏にノーモンまでも。  唯一背中を押してくれるのは先生だけだった。だから憎めないんだ。 「……なるほど。十二の妖の洗礼を受けたというのは強ち嘘ではなさそうだな」 「?」  あのオレの根っこの部分を創ったというアレが、どれ程オレに影響を与えているのかなんて知る由もない。  内容よりも、人でもない妖でもないオレの今後を憂い、集まり祈ってくれたことがオレの糧になってる。 護られるばかりのみっともない奴に成り下がりたくない。 「そこの鏡ケ池から行くといい。そうすればオレの妖気がつく」  闇の中にぽうっと浮かぶ小さな池。 ごく簡単なことのように言ってくれる。 「付いて来てはくれないのか?」 「なんだ、付いて来てほしいのか」 「……」  護ってもらうつもりはないんだが、なんというか。 「さっきまでの威勢はどうした。怖気づいたか?」 「そりゃあ初めての世界に行くんだから怖気づくさ」  本音が口を出る。  妖に絡まれる可能性は大だし、迷子になるかもしれない。     
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