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「和馬ぁ! いいから止めろ!」
思わず割って入ってしまった。このまま長引かれると困る。
「分かったよ」
ポケットに手を入れると振動が止まった。やっと解放されて脱力した。床にへたり込むが、床に尻をついてビクッとしてしまった。
佐久間がしゃがんで俺に目線を合わせてくる。
「はぁん? 何、オシオキ中だった?」
「お、まえの、せいだからな……?」
「だろうね。お前と和馬が付き合ってるって、何となく分かってて手を出したし」
「はあ!?」
色々と初耳な事実が多すぎて、ちょっと思考が追いつかないぞ!?
佐久間の手が俺の右耳に触れる。
「まさか、これがこんなに早くバレちゃうなんて、思わなかったけどね?」
ニッコリ笑うが、今はとても憎らしい。
「これからもよろしくね、爽太」
目の前に差し出された手を見る。……いや、取るわけねぇだろ!
「よろしくしない! てめぇは帰れ!」
和馬に首根っこを掴まれて、佐久間は玄関の外へ締め出された。
『また来週、大学でねー』
そう言って帰っていった。
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