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ファーストピアス
「お、マジか! あっ、お礼じゃないけど、コレやるよ」
「何? ……ピアッサー?」
渡されたのは金色のボールタイプのピアッサーだった。
「そ。昨日買ったんだけどさ、1個だけ色が違くて」
「また開けるつもりなんだ……」
「いいだろ、別に。とりあえず、返品するのも面倒だからあげる」
「ええ……」
ピアスか……。
わざわざ耳に穴を開けようなんて、考えたこともなかった。ただ、せっかく上京して大学生をやっているんだから、ちょっぴり興味がないわけでもない。
「……だって、痛いんだろ?」
「大丈夫、思ってるほど痛くないから! 何なら開けてやろうか?」
「うーん……」
こういう勢いがないとピアスなんて一生開けることはない。
「片耳だけでも!」
まあ、佐久間は慣れてるっぽいし、自分でやるよりは怖くないけど……。
「……分かった、貰うよ。でも自分でやるのは怖い」
「オーケー! やってあげようじゃないの!」
そう言うと佐久間はピアッサーのパッケージを開けた。
「待て待て、今やるのか?」
「思い立ったらすぐやるのが俺の信条」
「お、俺の心の準備が……」
「平気だって。ホントに一瞬だから」
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