なんかちょっと恋人っぽい

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 コンビニの中に入ると、捨てられた子犬みたいな和馬がいた。 「爽太ぁ~! 超心細かったぁ~!」  俺を見つけるとパァッと表情が明るくなって抱きついてくる。 「はいはい。てか、お前もいい加減地図くらい読めるようになろうよ」 「やだ。だって地図読めちゃったら、今みたいに爽太が迎えに来てくれないじゃん」 「俺が迎えに行かなくてもいいように言ってんだよ。……まさか、お前本当は地図読めるんじゃ」  こいつには本性を隠していた前科がある。これも、俺が迎えに来るからという理由でわざとやったんじゃないかと疑うのは必然だ。 「いや、マジで分かんない。なんでみんなアレで目的地に着けるのかすら分かんないもん」  根本的に頭が弱いのは、昔から変わらなかったようだ。 「なんでもいいよ……。早く帰ろ」 「夕飯はオムライスがいい」 「じゃあ卵と鶏肉買って帰ろう」 「やったね」  なんだかんだ言っても、俺は和馬に甘いみたいだ。
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