実話怪談 嗤う観音像

祖母、心霊番組に出る

私が小学生の時です。
祖母がテレビに出るということで、親戚中大騒ぎになりました。

祖母宅の床下から観音像が出てきたという話にワイドショー番組が興味を示し、取材に来たのです。

身内がテレビに出るなんて、まだ子どもだった私には大ニュースでした。惜しくも私は放送を見逃しましたが、番組を見た親戚の話では、番組冒頭に祖母が登場し、後は観音像が掘り出された経緯が詳しく紹介されたということでした。

家の床下から観音像が出てくる・・・。この不思議な出来事は、祖母を終生振り回すことになるのです。

祖母は明治生まれ。病弱な祖父と結婚した後も一家を養うために働き詰めでした。そんな祖母にも黄金時代はやってきました。戦後の高度成長時代です。
何をやっても、驚くほど儲かる時代でした。
祖母はおもちゃ屋やアパート経営で大金を稼ぎ始めていました。特におもちゃ屋は大当たりで、銀行に行く暇もないほど大繁盛し、家の押し入れには札束の山ができたそうです。

一度大金を手にするともっと欲しくなるらしく、祖母は家運が上昇するという信仰団体に入会し、熱心に先祖供養もしていました。