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「シロヒゲを見かけたから、気になってついてきちゃったの」
ぼうやがしょんぼりした顔で言うと、シロヒゲは「元気出しな」と言うように前足でぼうやの靴をポンポンと叩きました。
「おいシロヒゲ。その子はお前の知り合いか?」
白猫がゴミの山から降りて近づいてきました。
「はい。そうです」
「人間とつるむなとあれほど言ったよな?」
「面目ねぇ」
シロヒゲがしゅんとしています。
「ぼく、ここに来たらいけなかった?」
ぼうやが聞くと、白猫がジロリと睨んで来ました。
「俺たちの集会に人間が混ざるのも、人間に話を聞かれるのも、これまでなかったことだ。お前さんの友達は俺たちの規律を破ったのさ」
白猫の言っていることはぼうやには難しくて、どうやらシロヒゲが叱られているらしいとしかわかりませんでした。
(シロヒゲはぼくと話したことをないしょにしてって、いつも言っていたっけ。この猫さんに怒られちゃうからだったんだ)
「シロヒゲを怒らないで。ぼくとシロヒゲが会ったのはたまたまだったし、今日もぼくが勝手についてきたんだよ。シロヒゲは悪くないんだよ」
「…いい子じゃねぇか」
白猫が前足でシロヒゲをどつくと、小さなシロヒゲはひっくり返ってしまいました。
「とにかくぼうや、今日は大事な集まりなんだ。お前さんは今すぐうちに帰って俺たちとの縁をきっぱり切るか、俺たちの仲間に入るか選ばなきゃならん」
「親分!?人間を組に入れるんですか?」
様子を見ていた猫がびっくりして言いました。
「口を封じるわけにもいかねぇだろ。そこらのネズミと違うんだぞ。
この子には分別がありそうだから誰彼構わず喋ることはなさそうだがな」
白猫は手振りでぼうやをしゃがませると、顔を近づけて来ました。白猫の顔の真ん中には真っ黒な鼻があり、目つきの鋭い両目は金色でした。
「俺はハナグロって呼ばれてる。こいつらは俺の子分たちだ。
どうする?お前さんも子分になるか?それともお友達と縁を切るか?」
「シロヒゲともうお話しちゃだめってこと?」
「そうだ」
「それはいやだよ。ぼく、ここにいるみんなと友達になりたい」
「そうか。それなら…」
ハナグロは少し目を閉じて考えました。
「今日は満月のまんまる祭りだ。お供え物を用意できたら組に入れてやろう」
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