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「乱暴して悪かったな。人間に見られたってわかったら親分にどやされちまうんだ。くれぐれもおいらのことは内緒にしてくれよ。
おいらはシロヒゲってんだ。おいら黒猫だけどひげだけ白いんで、親分がつけてくれたんだ」
ぼうやは、胸を張って得意そうにしているシロヒゲを可愛いと思いました。
「ねえシロヒゲ、ぼく、カラスを追いかけてるんだ。どこに行ったか知らない?」
シロヒゲは忌々しそうに牙を剥きました。
「あいつにはおいらも困ってんだ!ヒカリモノと見りゃどっかから飛んで来てよ、悪さばっかりしやがる。居場所を知ってたらとっくに行ってらぁ!」
「シロヒゲも困っているんだね」
それならあのカラスをいっぺん懲らしめてやらなくちゃ、とぼうやは考えました。
「あのカラスはどうしていたずらするのかな?」
「あいつはどうやらヒカリモノに目がないんだ。キラキラしてたり、ピカピカしてたり、ニンゲンが持ってる宝石みたいなやつを見つけるとちょっかい出さずにいられないらしいぜ」
「宝石が好きなんだね」
ぼうやはニッコリ微笑みました。
「ぼく、いいこと思いついたよ」
ぼうやは家に戻ってくると、シロヒゲを抱いてそーっとキッチンの扉を開けました。
幸いママはいなかったので落ち着いて探し物ができました。
「あったよ。シロヒゲ、これを見て」
ぼうやが取り出したビンの中には、ぼうやの指先ほどの大きさの水晶のようなものがたくさん詰まっていました。
シロヒゲはまん丸い目をぱちぱちさせました。
「こいつは綺麗だ!ぼうや、これはなんだい?」
「ママがお料理に使うチョウミリョウだよ。ガンエンって言うんだってさ」
「ガンエンか。あんまりキラキラしてないが宝石みたいだな。きっとあいつも気に入るぞ!」
ぼうやとシロヒゲは意気揚々と(でもこっそりと)キッチンを出て庭に向かいました。途中でぼうやが緑色のタオルケットを持ち出しました。
「これに隠れよう」
ぼうやとシロヒゲは庭の真ん中に大粒の岩塩をぶちまけると、隅っこで腹ばいになってタオルケットを被りました。それからじーっと岩塩の山を見張りました。
シロヒゲの体が暖かかったので、ぼうやはだんだん眠たくなって来ました。
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