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にゃあにゃあ……カリカリ……
猫の声?でも、姿が見えません。
気になって音の出所を探すと、そこはごみ捨て場でした。音は、そこに置かれた炊飯器の中から鳴っているようでした。
ぼうやがコンコンと炊飯器をノックすると音が激しくなり、炊飯器がぐらぐら揺れました。
「そこに誰かいるのか?開けてくれ!開けてくれよー!」
よくよく聞くと人の声ではありませんか。ぼうやは慌ててフックボタンを押しました。炊飯器のフタが勢いよく開き、中から小さくて真っ黒な猫が飛び出してきました。
「ああー助かった!」
黒猫は思い切り伸びをしました。それからハッとしたようにぼうやの顔を見、へなへなと寝転がりました。
「また人間の前でしゃべっちまった……ぼうやでよかったぜ……。おいらのことは内緒にしといてくれよな」
「わかってるよ、シロヒゲ」
シロヒゲはヒゲだけ白い黒猫で、ぼうやの友達です。ぼうやがどうして炊飯器に入っていたのか聞くと、シロヒゲはばつが悪そうに言いました。
「昨夜は雨風がひどかったろう?おいら、粗大ごみのかげに隠れていたんだけど、でっかい雷が落ちたんでびっくりしてそこへ飛び込んじまったんだ。そしたら出られなくってよう。ぼうやが来てくれて助かったぜ」
「カミナリを見たの?どこに落ちたか知ってる?」
「さあなあ。このごみ置場のどっかじゃないか?」
ぼうやはシロヒゲに事情を話して、カミナリ探しを手伝ってもらうことにしました。それからぼうやとシロヒゲは手分けして散らかったごみを掻き分け、カミナリを探しました。
「おーいぼうや、これはなんだろう?」
見ると、シロヒゲは前足でペットボトルをつついているところでした。ペットボトルにはラベルがついていなかったので、中に入っているものがよく見えました。
ペットボトルの中には米粒くらいの大きさの光る石ころのようなものが入っていました。時々線香花火のようにパチッと火花を吐いています。
「やった!きっとこれがカミナリだよ」
ぼうやはペットボトルの口に手を当ててカミナリを取り出そうとしました。カミナリがボウヤの手に触れるとバチバチッと大きな音がしてぼうやが光に包まれ、近くにいたシロヒゲの黒い毛が逆立ちました。
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