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ぼうやは体にくっついた空き缶をカンコン鳴らしながらカミナリが去っていった方に歩いて行きました。その間、シロヒゲはしきりに顔を擦っていました。
にわかに真っ黒な雲が空を覆い、あたりが暗くなりました。
「シロヒゲ見て。あの木のてっぺん、光ってる」
ぼうやが指差した先には細長くて高い木が一本立っていました。そのてっぺんが、うっすらと白く光っているように見えます。じっと見つめていたらパチッと線香花火のように火花を吐きました。
「カミナリだ!」
その時です。あたりがピカッと真っ白になったかと思うと、ビシャーンと大きな音が鳴りました。ぼうやはその一瞬の光の中で、空から伸びた青白い手がカミナリを摘まみ取ったのを見たような気がしました。
次に大きな水の塊がザブーンと落ちて来ました。ぼうやもシロヒゲも、頭のてっぺんからしっぽの先っちょまでびしょびしょになってしまいました。
その後すぐに黒い雲は消え、おひさまが顔を出しました。
「ぼうやも見たかい?」
「見たよ」
「おや、缶が取れたな」
「あ、ほんとうだ」
ぼうやがホッとして笑うと、シロヒゲも笑いました。
ぼうやはシロヒゲと別れて家に帰りました。いつもぼうやが濡れて帰ると怒るママが、今日は何も言って来ませんでした。なぜなら濡れたのはぼうやだけではなかったので、ママはとっても忙しかったのです。
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