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見ると、ビルから突き出ている巨大なヤシのような植物が、その巨大な実を落としていた。それがまたすぐに芽を出し、恐ろしい勢いで成長していく。それはまるで植物というよりも何かの動物のようだった。
「近づくのは危険だな」
僕は街の中心部から出ようと思った。
その時だった。
「骨だ。人間の骨だ」
足元に、人の頭蓋骨のようなものを発見した。顔を近づけて見ると、それは確かに人間の頭蓋骨だった。そこにはびっしりと、コケや小さな植物の芽や木が所狭しと生えていたが、やはり、それはまぎれもなく人骨だった。
「あっ」
手を触れた瞬間、それはハラハラと砂粒で出来ていたみたいに粉々に跡形もなく散ってしまった。まるで植物に全てを吸いつくされたかのように・・。
「いったい・・・」
人間の骨がここまで脆く、粉々になるものなのだろうか。僕は指先に残る、頭蓋骨の残滓を見つめた。
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