第2章・自然

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 信じられないくらいに澄んだ水が、カラカラと小気味よいきれいな音を立て流れていた。 「これは・・・」  それは僕の知っている川ではなかった。しかし、それはいつも通学の時に電車の車窓から見下ろしていたあの川だった。 「川の底が見える」  流れる水の向こうに川の底の小石までがはっきりと見えた。  岸辺は完全に草に覆われ、そこに咲く小さな名も無い無限の花によって彩られていた。見慣れた護岸工事によって塗り固められていたコンクリート製の岸辺は、あらかた草と厚い苔に覆われるか、その力によって浸食され、ほとんどが消え果てていた。  僕は川辺に走り、川の中に手を入れてみた。 「わぁっ」  それはやはり見た目通り踊り出したくなるようなほど心地よい感触だった。  僕は恐る恐る手で掬った川の水を口に含んだ。 「飲める。というかうまい」  心の底からそれを体が欲しているうまさだった。  普通に川の水が飲める。今までの常識からは考えられない現実だった。しかも、今まで飲んだどんな水よりもうまかった。店で買ったバカ高いミネラルウォーターよりもだ。そんなものが全くのクソがつくほどの偽物に思えた。  僕は浴びるように、顔に川の水をかけ、その水を飲んだ。 「うまいっ、うまい」     
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