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あめをなめてはいけない
「おっ、佑紀(ゆき) 起きたか。」
ゆっくりと意識が戻ってくる、頭が痛くて目眩もする。
背中の硬い木の感触から、ベンチに座らされているみたい。
首を2、3回振って、見上げた青い空はいつもより眩しく感じた。
「佑紀、落ち着いた?じゃあこの指 何本かわかる?」
「……三本…?」
よかったー、わかるみたいだね。とすみれに言われる。
ええと、ここは……公園のベンチ?
確か今日はお盆で、友達の「彦也」(ひこや)「翔」(しょう)「すみれ」と遊びに出かけた。
それから階段を登っていた時、顔面めがけて何かが落ちてきて…
何かが落ちてきて…そのあとどうしたんだっけ。
気絶、したのかな。
「佑紀、覚えてないのですか。あなたは階段を登っている最中、山本のおばあさまの落とした日本人形を顔で受け止めきれず そのまま気絶したのですよ。」
おかげで公園のベンチに運んでくるのも一苦労でした。と翔は続ける。
「翔」は何故か常に誰にでも敬語で、友達には優しい。
なんか良いとこの家の息子だったはず、家大きいし。
お金持ちって憧れるなー。
「そっか。あの日本人形、山本のおばあさんのだったんだね。おばあさんは怪我なかった?」
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