20人が本棚に入れています
本棚に追加
「えー、なんでよー？」
むくれてみせると、チヒロは苦笑いしながら、
「次のお酒頼むのは、今のグラス空けてからが礼儀でしょ」
とオレをいなした。
「もーう。チヒロのいけずー」
と言いつつも、確かにこの味のお酒だと、がぶ飲みするのもったいないし、他の味混ざるのもイヤな気がする。
煙を少し吸い込んで、少しだけウイスキーを口に含んで。フウー…。自分の口から立ち上る紫煙を見上げて、あーホント美味しいー。
「なんかさー、今吸ってるタバコとか、今まで飲んでた酒とかさー、違いすぎてて何なんだろーって思うわ」
隣で同じように煙を吐き出しながらタケが言う。
「同感。ホント未知の世界すぎ」
「なー。なんつーか、すっげオトナになった気分。
世界にこんなに美味しいモノあるなら、オレ、オトナになるの早くてもいいかもしんない」
「あー、なんかわかるわー。仕送りとバイト代だけじゃ居酒屋とコンビニばっかになるしなー」
ナミも同意して、グラスを傾けた。
最初のコメントを投稿しよう！