第十九章 日常とカフェとおでかけ

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「佐美さ〜ん、佐美さ〜んはどこへ行きましたか?」  万吉さんは厨房の中やトイレ、それから業務用冷蔵庫まで開け佐美さんを探す。  満面の笑みを浮かべ厨房に戻って来たおばあちゃんがお盆をデシャップカウンターの上に置きながらあっちへうろうろこっちへうろうろする万吉さんを眺めながら首を傾げている。 「あら、万吉さんはどうしたのかしら?」 「佐美さんが消えちゃったから探しているんだよ」  わたしは万吉さんに視線を向けながら答える。 「あらま、また佐美はサボっているのね」  おばあちゃんは大きな溜め息をつき「困った子ね」と額に手を当てる。  その時、裏口の扉が開いたかと思うと、佐美さんが入って来た。 「あれ? みんなどうしたの?」
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