第十九章 日常とカフェとおでかけ

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 きょとん顔の佐美さんをわたし達はじっと見る。どうしたもこうしたも仕事中に姿を消した人の発言だとは到底思えない。 「ちょっと疲れたからアイスを食べてきたのよ」  なんて信じられないことを言うではないか。 「はぁ!! アイス」とわたし達の声は揃う。 「佐美さん仕事中だよ……」 「佐美、今日も忙しいのよ」 「わざわざよその店でアイスをですか?」 「だって、人生には息抜きが必要なのよ」  なんて言うけれど、佐美さんは毎日息抜きをしているではないか。 「さてさてスッキリしたから仕事でもしようかな」  佐美さんはグラス拭きクロスを手に取りグラスを磨きはじめた。 「ねえ、佐美さんは新作メニューの注文は受けないのかな?」 「今日はグラス磨きと洗い物をするって宣言したでしょ」  佐美さんはふんふんと鼻歌を歌いながらグラスを拭く。なんて、マイペースな人なんだ。
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