第一章 就職活動に敗れたわたしは……

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皆で、わいわいがやがや食べる南橋家の食事はなんだかんだ言いながらも楽しかった。 それにしても、おばあちゃんはテキパキとよく動く。 皆の様子はというと。 里奈は、ちらし寿司をむしゃむしゃ食べている。 佐美さんは、「お母さん、これ美味しいよ」と褒めて、胡座をかいで食べている。ああ、女性なのに……。 さゆりさんは時々、おばあちゃんを手伝っている。 道男叔父さんはその彫刻みたいに美しい顔にご飯粒をくっつけている。 久道叔父さんは、「母さん、このちらし寿司美味しいな。おかわりー」と器をおばあちゃんに渡す。おばあちゃんはニコニコ微笑みを浮かべ器を受けとる。 猫のタマは、わたしの膝の上でゴロニャン。これはもう可愛らしい。 わたしはまだまだ、お客さま気分で食事をしている。 今日からこの南橋家の一員になる、るり子でした。
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