いけないよ、いけないよ

3/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 おふろに入って、パパが飲んでいるインスタントコーヒーの粉をちょっとなめて、部屋で本を読みながら、真夜中が来るのを待った。   寝ないように、ちゃんとうさぎのぬいぐるみに、本をよんであげたりしながら。  ふわあ、とあくびをひとつしたころ、「とんとん、とんとん」と窓をたたく音がした。  ピョン、とベッドの上でとびあがる。  カーテンを、ちょっとだけあけて、窓の外を見ると、やっぱりいた。  あの子が、窓の、外にいた。  真っ赤なからだで、真っ赤なブラウス、真っ赤なスカート、真っ赤なソックス、真っ赤なくつで、赤ばっかりの女の子。  大きなつのも、ちゃんとある。  女の子よりも大きくて、長くて、まるでシカみたいに、先のほうがわかれていた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!