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今回の公募で、学校の怪談を書きたくて、私が高校時代に仲が良かった用務員のFさんを、なんとか探し当ててお話を聞くことが出来ました。
Fさんはもう80代後半で、特養(特別養護老人ホーム)に入られていて、軽度の認知症とのことでしたが、体の方は全く健康で、現役時代に体験された怖い話、奇妙な話などを聞かせてくれました。
①【割れた鏡】
Fさんがある小学校に勤務していた頃―
その日は6年生の修学旅行の壮行会が、朝から行われていた。
いつもなら、Fさんは学校の前に縦列駐車したバスに向かう生徒たちに、手を振って送っていたが、その日は違った。朝から大変なことが起きていたからだ。
「正面玄関を入ると、三和土(たたき)がありますよね。そこの壁に卒業生の寄贈品である大きな鏡があるんですが、朝、私が出勤したら、粉々に割れていたんです」
校長や教頭先生は「誰が割ったんだ!」と早くも犯人捜しを始めた。
でも一番早く来るのは用務員であるFさんで、前日に戸締りをしたのもFさん。もちろんきちんと戸締りはしたし、朝、校舎内を巡回して調べたが、異常はなかった。
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