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引っ越して初日のことだった。何となく、ただ何となくではあるが、初めてあの部屋に足を踏み入れたとき、空気がすうっと冷えたように感じたのを覚えている。
一人暮らしを始めるためにY市にあるアパートの一室を借りた。女子大生が一人で住むにはそぐわないような所帯持ちの多いアパートだったが、家賃の安さに逆らうことはできなかった。
引っ越してきた当日、床についた時のことだった。なにき低い呻き声のような、声とも音ともつかないような何かが私の耳に入ってきた。
「…外かな」
大雨の降る夜だった。風の音だろうと思い、私は特に気にすることもなくそのまま眠りについた。
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