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萌香さんは、ショートカットの金髪がお似合いのお洒落な女子大生。旅行先での体験談を、聞かせてくれた。
「友達の真沙美と、温泉旅行に行ったんですけれど」
到着した予約済みの宿は、ネットに掲載されていた小奇麗な画像とは随分と違っていて、古くて寂れた印象を受けたという。
「案内された部屋も薄暗いし黴っぽくて、最初はがっかりしたんですけれど、温泉と地元のお野菜をふんだんに使った料理は最高で、二人とも満足してその日は寝床についたんです」
深い眠りに入っていた萌香さんは、真夜中に目を覚ました。隣で眠っている真沙美さんが、何やら寝言を呟いているのが聞こえてきたからだ。
「ななじゅうさぁん、ななじゅうしぃ、ななじゅうごぉ……」
どうやら数を数えているようだった。いったい何の夢を見ているんだかと、萌香さんは寝返りを打って真沙美さんの方へ身体を向けた。すると
(な、なに!?)
恐ろしい光景が、目に飛び込んできた。
真沙美さんの身体の上に髪の長い女が馬乗りになって、数字を数えながら、真沙美さんの頭から髪の毛を一本一本ぷちぷちと抜いているのだ。青白くやつれた顔に目だけギラギラと光らせた女は、病院の検査服のような物を着ていて、そこから伸びた手足は枯れ果てた枝のようにガリガリだった。どう見ても、この宿の宿泊客とは思えない。
「はちじゅういちぃ、はちじゅうにぃ、はちじゅうさぁん……」
あんな風に乗られていたら重いだろうに、あんな風に髪を抜かれていたら痛いだろうに、真沙美さんは薬でも飲まされたかのようにぐっすりと眠っている。

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