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背中をさする同僚の手に何も言えず、ただ怯えていた彼女が安心しとりあえず服を着た時に隣人が呼んだ警察がやっと来たそうです。
駆け付けた近隣住人や警官が見守る中、彼女が何があったかを話したそうですが、皆が駆け付けた時、部屋には彼女以外誰もおらず、勿論部屋から出た者もいない。
不審な男がいたなど誰も信じるはずもなく、彼女が疲れていて見間違えたんだろうと皆が呆れ帰ろうとした時……俯いて話をしていた彼女は一人でいたくないと懇願し顔を上げたせいで気付いてしまいました……。
彼女の部屋の天井に手足をつけ四つん這いになり、首だけを180度回転させ口を真横に裂き、見開き血走る目でニタァーっと笑う男がいたのを……。
彼女は再び悲鳴を上げ、怯えながら天井を指さしたので、その場にいた全員が彼女の指し示す方を見ました。
……が、
皆には何もない只の天井にしか見えず、一人、また一人と人騒がせなと小言を言いながら帰っていきました。
最後に、同僚が駆け付けてくれた警官を見送ろうと彼女の肩を支えながら玄関まで行くと、靴を履いた警官がふと視界の隅に入った天井を見て「ヒィッ」と小さく悲鳴を上げ、不思議に思いつられて振り向くとまるで獲物を狙う蜘蛛のようにニタァーっと笑う男がいたのです……。
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