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肝心なことを忘れかけていた。
「……ははっ」
彼は、ぼくの突如のお礼にふりむいて目を点にしていたが、すぐに顔をほころばせ、じゃーな、と手をふってくれた。
◆
それから、彼とはまた疎遠になる。
姿も見かけない。たまにパチンコ屋によったが、店を変えたのか一度も発見できず、やがて学生から社会人にクラスチェンジしても彼とは会わず、そのまま長いときを過ごした。
今も、彼を見かけることはない。
感動的な再会など、起こる気配がない。
まぁ、会っても別に親しいなかでも共通の話題もなさそうだし、って話だが。
でもまぁ、もしあいつと久々に会うことがあったら、あのときはありがとう、とまた礼を言いたい。
了
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