第1章

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 肝心なことを忘れかけていた。 「……ははっ」  彼は、ぼくの突如のお礼にふりむいて目を点にしていたが、すぐに顔をほころばせ、じゃーな、と手をふってくれた。  ◆  それから、彼とはまた疎遠になる。  姿も見かけない。たまにパチンコ屋によったが、店を変えたのか一度も発見できず、やがて学生から社会人にクラスチェンジしても彼とは会わず、そのまま長いときを過ごした。  今も、彼を見かけることはない。  感動的な再会など、起こる気配がない。  まぁ、会っても別に親しいなかでも共通の話題もなさそうだし、って話だが。  でもまぁ、もしあいつと久々に会うことがあったら、あのときはありがとう、とまた礼を言いたい。  了
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