三 「この真っ暗な世界で」

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 それが、少しだけ分かったような気がした。ケイタが見ている景色がどんな景色か、すこしだけ覗けたような気がした。  ヒロトは、怖いんだ。 「……どう? 何か、分かった?」  視界の全てを小さな光で埋め尽くして、ケイタはそう聞いてみた。 「……いや、全然分かんないや」  ヒロトは壊れた望遠鏡を、右目から離さない。  ケイタは胸が苦しくなって、両膝に顔をうずめた。 「……俺は、まだ分かんなくて良いと思う。このまま生きていけば、そのうち見えてくると思う」  自分の声が震えている事は、とっくに気づいていた。 「俺たちも、あれみたいに生きていけると思う」 ヒロトが大きく鼻をすすった。そして、この世界の何よりも小さく「ありがとな」と言ってくれた気がした。  ケイタは、顔をあげた。さっきよりも、星空がぼやけて見える。  真っ暗な世界で、小さな光が、ケイタ達を照らしてくれている。どんなに世界が暗くても、星は明るい。  だから、大丈夫だよ。    ケイタは胸の中で、ヒロトの肩を強く叩いた。  
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