三 「この真っ暗な世界で」

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 そんな景色が目の前に広がっているだなんて、まるで夢の中を歩いている気分だった。  階段が終わる。ここが、頂上だ。   「うわっ……」    ヒロトの声が、宇宙に響き渡る。  真っ暗な世界を、小さな光が埋め尽くしている。そこはもう、真っ暗なんかじゃない。  星空って、こういう景色を言うんだ、ケイタは自然とそう感じた。真上に見えるのは夏の大三角。奥の方に、北斗七星。それ以外は知らない。知らないのがもったいないくらい、どの星も眩しく輝いている。俺はここだと、叫んでいる。 「それじゃ、さっそく準備。場所移動しようぜ」「ああ、分かった」  山の頂上は円の様な形をしていて、地面にはぶっきらぼうに雑草が生えている。ケイタにはその雑草でさえも美しく見えた。 「男は黙ってど真ん中だ」  ヒロトはそう強く言って、広いスペースのど真ん中に腰を下ろした。ケイタもその隣に座る。階段からここまで少し距離があるが、ケイタ達が動いても、星達は動かずにそのまま「星空」を作っている。 「それで、問題の望遠鏡だけど……」 「そうなんだよなぁ。いやあ、まさか落としちゃうとは」     
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