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そんな景色が目の前に広がっているだなんて、まるで夢の中を歩いている気分だった。
階段が終わる。ここが、頂上だ。
「うわっ……」
ヒロトの声が、宇宙に響き渡る。
真っ暗な世界を、小さな光が埋め尽くしている。そこはもう、真っ暗なんかじゃない。
星空って、こういう景色を言うんだ、ケイタは自然とそう感じた。真上に見えるのは夏の大三角。奥の方に、北斗七星。それ以外は知らない。知らないのがもったいないくらい、どの星も眩しく輝いている。俺はここだと、叫んでいる。
「それじゃ、さっそく準備。場所移動しようぜ」「ああ、分かった」
山の頂上は円の様な形をしていて、地面にはぶっきらぼうに雑草が生えている。ケイタにはその雑草でさえも美しく見えた。
「男は黙ってど真ん中だ」
ヒロトはそう強く言って、広いスペースのど真ん中に腰を下ろした。ケイタもその隣に座る。階段からここまで少し距離があるが、ケイタ達が動いても、星達は動かずにそのまま「星空」を作っている。
「それで、問題の望遠鏡だけど……」
「そうなんだよなぁ。いやあ、まさか落としちゃうとは」
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