一 「宇宙と宿題」

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 ヒロトは「よぉーし」としたり顔を決めると、また大きく息を吸い込んだ。 「そんでな? 俺は宇宙のロマンってのに気づいちゃったわけだよ」 「どうせまたネットに影響されたんだろ?  お前はいっつもそうだ。前はなんだっけ……時計?」 「ああ、『懐中』時計な。でも、今回はそんなんじゃないんだ。」 「本当か? 宇宙ってのもこれまた中学男子が好みそうなジャンルだぞ」 「ああ。だけど、絶対に違う。これは本気なんだ。」  ヒロトの視線がケイタを突き刺した。宇宙を閉じこめたような瞳を見るに、どうやらヒロトの言っている事は本当みたいだった。    ケイタは「そう……」とヒロトの思いに答えた。なんか、いつもと雰囲気が違う。彼の視線はケイタの目に注がれているが、それが放つ硬い空気に、ケイタの体はいつの間にかそれに包み込まれていた。 「それでな、本題なんだけど」  いつにも増して低い声だ。その声がよりいっそう、ケイタの心臓を鳴らしていく。 「俺は星を見たい! この目で見たい!」  ヒロトはさっきと同じ調子でそう言い放った。しかしその途端、今までまとわりついていた「いつもと違う空気」がどこか遠くへ行ってしまった。 「星を見る? お前そんなロマンチストだったっけ」     
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