二 「2人の工作」

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二 「2人の工作」

 教室に入ると、向かい合わさった四つの机の上に大きなビニール袋が置かれていて、中には大きい紙やら筒やらが乱雑に突っ込まれていた。その机の隣で、ヒロトは腕を組んで立っていた。 「おお、材料あったんだ」  ケイタはそう言うと、部活用のバックからセロハンテープとハサミを取り出し、机に並べた。百均で揃った、とヒロトが誇らしげに言う。  時計の針は七時半を指している。まだどの部活も練習を始めていない。そんな朝早くに二人で学校に集まったのは初めてだった。  「こんなに朝早く集まる必要なかったんじゃない? 駅伝部も今アップ始めたとこだよ」  ケイタはバックを床に落として椅子に座った。八月中旬の朝は暑い。今日も日光の針をグサグサ体に受け、自転車を漕いできた。 「まあ、朝の運動は大事だからな。それに、時間も無いし……」  ヒロトの視線が別の方向に向けられた。多分あの方向は、ケイタの後ろ、黒板の横にあるカレンダーを見ている。  なんか、最近ヒロトの様子がおかしい気がする。ケイタは顔をタオルで拭きながら、ここ二日間のヒロトの様子を頭の中に映し出した。     
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