二 「2人の工作」

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 放課後の時間、学校の友達全員のエネルギーを一カ所に集めたみたいな夕陽で真っ赤に染められた教室で、ヒロトは決まってそう言うのだった 「今日はどんなざいりょう持ってきた?」 「今日はぎゅうにゅうパックしか無かった」  他のクラスメートが皆外で走り回っている中、ケイタとヒロトは自分たち以外誰もいない教室で、工作に励んでいた。  ケイタが道具係で、ヒロトが材料係。ヒロトは毎朝、自宅から持ってきた牛乳パックや段ボールなどが詰め込まれたビニール袋を持って学校にやって来た。 「ぎゅうにゅうパックで何作れる?」 「よし! じゃあ俺は家をつくる!」 「それなら僕もそうする! きょうそうだね」  そうしてヒロトがビニール袋をひっくり返し、説明書のない行き当たりばったりの物作りがスタートする。  外からの笑い声が聞こえる教室で、二人は黙って作業を進めた。ハサミで厚い紙を切る音、セロハンテープを引く音が教室に響く。ケイタはそれらの音を聞くと、自分たちは他とは少し違うことをやっている。そんな優越感と、夕陽に負けないくらい大きな満足感で、胸が満たされた。それはヒロトも同じだと、ケイタは信じて疑わなかった。 「そういや、工作なんて中学に入ってからやってなかったな」      
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