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「灯篭」
降り立った
た
た
指先から染み込んだ鋭利な空気
足元しか照らさぬ街灯
アルコールが香る床で
一炊の夢を見た青年
から
からからから
見えた景色は恐らく
上へ下へのスクロール
からん、ころん、からころん
「文脈の化け物」
太陽が昇り
夜の世界が始まる
百鬼夜行の足音
隙間から見えた赤
高層ビルが逆さになり
その真下を駆け抜ける
小童
二、三歩後ろの接吻
河川敷の情事
眠りもしなかった
三丁目の魔物
「囚人」
透明な牢獄から
少女を見つめる
空虚
結局
囚えたのは心だったのか
人間だったのか
はたまた
人間の姿をした鬼の
足跡か
あぁ
鉄球を引きずる
その砂の後は
小川を作る
鍵はいづこ?
あぁ、こたへもない
か
「花形役者」
はらりひらりと
この身に降り積もる
嘘と傷と鬱と死
薄明るい黄の紙の
向かうでは
橙の葉が
灯籠に
はらりひらり
届かぬ夜の
指先は凍えずとも
やがて安寧へと
続く桐葉
ひらひら、
はらりひらり
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