1人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだ、これは・・・」
目を疑った。幻覚だと思い、目を擦って再び見開いたが、見えるものは同じだった。自分は夢を見ているのだと思った。だが、五感は繊細に研ぎ澄まされていて、とても夢とは思えなかった。次に自分はもう死んでいるのだとさえ思った。触ってみても硬い。扉の外を一面覆っていたのは、コンクリートだった。
「どうなっているんだ・・・」
もう部隊員達も次から次へと予想外のことが起こり、ついていけないようだ。私はコンクリートを押してみたが、ビクとも動かなかった。冷たく光る銃口を向けてみたが、跳ね返ってくる可能性もあるため控えた。
「おい見ろ! これは偽物だ・・・。」
そう言ったのは有名大学の物理学者。それに続いて「おぉ、これも・・・」「こっちもだ・・・」と各博士達が落胆と驚愕の声を上げた。部隊員皆愕然とし、もう何がどうなっているのか分からない。
「間違いありません・・・。ここにある実験器材及び装置は全て偽物です。信じられない・・・」
その博士の言葉で、部屋は絶望に包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!