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「棚木くんこっちおいで。」
「…ん。」
あの後何も言い返せなくなった俺は大人しく風呂場へ向かった。
ちゃんと颯斗さんの裸を見たのはこれが初めてだということに気づいたのだが、彼の引き締まって無駄な肉のついてない体を見て「同じ年齢なのにここまで差が出るのか。」と密かにショックを受けた。
そして今は狭い浴槽の中で颯斗さんに後ろから抱きしめられる形で湯船に浸かっている。
「あのさ、ふと思い出したことなんだけど…聞いていい?」
「いいけど…なに?」
「俺がフラれた時にさ、颯斗さん俺の事襲ったじゃん?
その時さ、なんで媚薬なんて持ってたの?」
密着しているのが恥ずかしくて気を紛らわすために少し前から思っていたことを切り出す。
「あー……あれはただ知り合いが無理矢理押し付けてきただけだよ。」
「じゃあ、その薬がどのくらい効くか分かってなかったの?」
「いや…知ってた、よ。
ごめん、そこに関してはあまり触れないで欲しい…。」
俺の言葉を聞いた颯斗さんは何かを思い出したのか苦虫を噛み潰したような顔をしながら答えた。
それを見て本当に触れて欲しくなさそうな話題だと感じた為、俺はそれ以上の詮索をやめた。
「分かった。またいつか聞かせて。」
「ありがとう。いつか話すよ。
まぁでも今は棚木くんにこうして触れるし、もうあんなの使う必要はないね。」
少しホッとした表情を浮かべた颯斗さんはそんなことを言いながら俺の首元に顔を埋めてきた。
颯斗さんの水に濡れて少ししっとりした髪が時折首筋にあたって擽ったい。
擽ったがる俺の反応を見て気をよくしたのか次第に甘噛みをしたり、たまに歯を立てたりし始めた。
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