無くなったゲーム会社

　彼は十年くらい前までゲームの製作会社に勤めていました。

　ゲームの制作会社では、学問の神様、菅原道真公をお祭りしている神社にお参りをする。
という事も多いのですが、彼の努めていた会社では、そこではなくて、すぐ傍の小さな神社に、毎月欠かさずお参りするのが決まりだったんです。

　社長さんは信心深い人で毎日欠かさず社長室の神棚を拝んでいたそうです。

　会社自体はあまり規模の大きなものではありませんでしたが、その歴史は古くてファミコンの時代から続いていまして、最近ではスマホのゲームを作るようにもなっていました。

　長く続いているのはそれなりの実力のおかげ、という事もあるのですが毎月欠かさないお参りのおかげ、という事も無くも無い。精神的な安定とか、社員総出のお参りなので、そこでコミュニケーションが取れたりだとか。

　コミュニケーションで言うと、神社へのお参りがきっかけで社内恋愛が始まり、そのままご結婚なされた夫婦も、何組もあったそうです。