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気が付くと病院のベッドだった。
次の日の昼だった。夕方ごろに栄太が、いつも通りの顔で見舞いに来た。
「最初、お前がふざけて怖がらせようとしてんのかと思ってさ」
閉じ込められた俺が絶叫し気絶してから、ようやく事の異様さに気付いたらしい。
ちなみに電話ボックスに張り付いたりなどはしなかったそうだ。
「あれから俺も、うっぜえ電話が掛かってきてさあ」
無言電話だった。
しかも、遠くで波の音が聞こえてきたらしい。
「もしかしてそれ、公衆電話からか?」
「おう。こんなときだったし気が立ってたから、ムカついて『死ね』って言って叩き切った」
栄太は明るく笑ったが、俺は動揺を隠せなかった。
「そんなに深刻な顔すんなよ。でもまあ、しばらく肝試しはお預けだな」
元気づけるように肩を叩いて、栄太は帰って行った。
残された病室で俺は夜を迎える。
それを考えると、狂いそうなほど怖かった。
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