救いの電話

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***  気が付くと病院のベッドだった。  次の日の昼だった。夕方ごろに栄太が、いつも通りの顔で見舞いに来た。 「最初、お前がふざけて怖がらせようとしてんのかと思ってさ」  閉じ込められた俺が絶叫し気絶してから、ようやく事の異様さに気付いたらしい。 ちなみに電話ボックスに張り付いたりなどはしなかったそうだ。 「あれから俺も、うっぜえ電話が掛かってきてさあ」  無言電話だった。 しかも、遠くで波の音が聞こえてきたらしい。 「もしかしてそれ、公衆電話からか?」 「おう。こんなときだったし気が立ってたから、ムカついて『死ね』って言って叩き切った」  栄太は明るく笑ったが、俺は動揺を隠せなかった。 「そんなに深刻な顔すんなよ。でもまあ、しばらく肝試しはお預けだな」  元気づけるように肩を叩いて、栄太は帰って行った。 残された病室で俺は夜を迎える。 それを考えると、狂いそうなほど怖かった。
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