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出題
ある海域での、ある姉妹の話である。その日は、心地よい波の音と潮風が、ほどよく感覚を刺激していた。青く澄んだ静かな海と、水平線を見失うほどに真っ青な空。それは、長く見ていても飽きないほどの絶景だった。ただし、一部を除いて。
この海域は、あちこちに岩盤が高く隆起しており、高い崖と岩がいくつかある状態となっている。その中で、ひときわ目立つ岩がある。その岩は、他の岩よりも一回り大きく、てっぺんは平らで、よい足場になる。だが、ただそれだけが目立つ理由ではない。他の岩が霞んで見えるのは、その岩と、周りの海が、隙間なく真っ赤に染まっているからである。
その岩の上に一つ、人影があった。血だまりの上に立ち、水平線を眺めている。
「うわっ、本当にまだ生きてる」
一人の少女が、ビチャッと音を立てて、その岩に降り立った。「白い少女」で呼称出来るほどに、彼女の肌や髪は白かった。
水平線を見ていた人影は、期待のこもった不気味な目で、白い少女の方へ振り返り、問う。
「誰だ」
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