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「格上の技能を盗む力が、圧倒的に高かった。だから、私はお前に、あらゆる点で負けていた!」
再び、互いに弾かれる。黒い少女は、今度は蹴りで攻撃を試みたが、白い少女もほぼ同時に回し蹴りで応戦。脚と脚がぶつかり合い、光が漏れた。
「気付いてた! 姉さんが立ち止まって、ただ私を見送るだけになっていること。私が、ただ先を走っているだけだった。でも、どんな功績をあげても、隣に姉さんがいなきゃ、ちっとも嬉しくなかった。姉さんに褒められなきゃ、私にとって無意味だった。姉さんの嫉妬心に気付いていながら、私はそれを期待していたんだ!」
「確かに、嫉妬していた!」
今度は、確かに決着がついた。白い脚は弾かれ、態勢を崩した。黒い少女は更に蹴りで追撃。白い少女の腹に命中した。白い少女は、海上で吹き飛び、仰向けになって倒れた。なんとか起き上がろうと、上半身を起こす。だが、すぐ側に、黒い少女が立っていた。拳を、白い少女に向けている。避けられない。そう悟った白い少女は、無意識に目を瞑った。
「けど……」
しかし痛みは、いつまで経っても降ってこなかった。代わりに、冷たい感触が、頬に垂れた。
「それ以上に、誇らしかった……」
「!?」
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