回答

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 白い少女が目を開けると、拳を放つ寸前で硬直する黒い少女の姿があった。目を疑った。その瞳からは、少量の涙が光っていた。 「妹の上げる、数々の功績が誇らしかった……。まるで自分のことのように、嬉しかった……。妹が見せる、笑顔が宝物だった……。私は不器用だから、褒めたことは少ないけれど、本当に、楽しかったんだ……」 「ねえ……さん……」  黒い少女は、握った拳をほどき、その手で自分の涙を隠した。声にも、涙がこもっているのがわかった。 「あんたを殺すことなんて、できない。いくつもの討伐隊を皆殺しにしたけれど、あんただけは……」 「姉さん、人格が……」  垣間見える、姉の人格。茨の草木をかき分けて見つけた秘境のように、妹の目に映るそれは、美しく、優しいものだった。 「しばらくすれば、また異能力が私を支配するかも知れない。その前に、あんたはやるべき事をやるの」 「そんな……」 「妹は、姉の言うことを聞くべきじゃない?」  闇を闇でかき消せ。この状況を予期していた姉から、白い少女への頼みであった。それは、姉による最初で最後の、我が儘。 「本当は、あんたに死んで欲しくない」 「やだ……、だったら姉さんと一緒に死んだ方が、幸せだもん」  白い少女の瞳からも、涙が溢れた。それを、姉は困った様子で見ていた。誰よりも、妹の事をわかっている目だった。     
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