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しかし、連中が思っている程、異能力は単純ではなかった。
「貴様と私では、異能力の熟練度に差がありすぎる」
待ち構えていたかのように、黒い少女の手が伸び、白い少女の顔に触れる。その瞬間、風圧が広がっていくと同時に、白い少女の体は、弾丸のような速度で後方へと吹き飛んだ。白い体はそのまま、別の岩に衝突。土煙をあげた。
「私の力を……打ち破ったの……?」
土煙が晴れると、岩盤にめり込んで身動きが取れない、白い少女の哀れな姿があった。
「そうだ。出力を上げてしまえば、貴様の異能なぞ簡単に貫通できる。これが、熟練度の違い。経験の差だ」
そんな白い少女を岩の上から見下ろしながら、黒い少女は言った。
白い少女は、黒い少女を睨みつけた。
「上から物を言わないで……、私も出力を上げれば、同じことでしょう!」
白い少女も異能力者。岩盤を容易に振りほどくと、海に沈むと思いきや、着地した。そこから飛沫が上がる勢いで、前進。黒い少女のいる岩に向かって蹴りを入れる。岩は一瞬で粉々になった。上に立っていた黒い少女は、空中に投げ出された。
「だからよぉ……」
白い少女が追撃のために跳躍したとき、黒い少女はそう呟いた。
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