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俺は校舎の屋上から風に放り出されて、地上へと落下している筈だ。
その認識で間違いない。
だって俺の体は、未だに空中で地面を背にして浮かんでいるんだから。
この状態が地面の有る所で自然と行われているんだとすれば、俺は背面浮遊しているって事になるんだけど、実際俺の背後に地面は無い。
いや、あるにはあるが二十数メートル離れた場所にある筈なんだ。
でもなんでその地面が近づいて来ない……?
なんで俺は地面を背にしたまま、目の前に広がる風景に感じ入ってるんだ?
本来この地上に存在する物体は、地球の重力に引かれて地面へと落下するはずだ。
何かしらの推進力を以て重力の頸木から解き放たれない限り、何人もその法則から逃れられる事は無いんだ。
でも俺は今、校舎の際から数メートル離れた上空に静止した状態で留まってる。
……あれ……それも少し違うようだ……。
ゆっくりと……。
とてもゆっくりと俺の体が動いている事が分かった。
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