エアー・ダイビング

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 足元へと引っ張られ続けながら、頭上の大気壁の抵抗を受け続ける。  意識を失う事も無く、それを超感覚の状態で感じ続ける事がここまで煩わしいとは思いも依らなかった。  死を決意した人達は、皆この感覚を体験して来たんだろうか?  強い痛みこそなかったけれど、体に負荷を掛けられ続けて数十分……くらいかな?  少なくとも俺の意識はそれだけの時間を感じ続けていた。  本当ならばほんの僅かな時間で到達するだろう地面も、今漸く目の前に迫る位置までやって来た。  最初こそ徐々に近づく地面を見続けさせられて恐怖もあったけれど、今はそれ程怖いとは感じていなかった。  どちらかと言うと、漸くこの長い時間も終わりなんだと安堵を感じているほどだった。  結構な時間が経っているのに、周囲の明るさはやっぱり殆ど変わっていない。  夕暮れはあっという間に周囲を闇へと変える筈なんだけど、やっぱり俺の脳内だけが活性化している。  実際の時間はほんの数秒なんだろうな。  そうこうしている内に、地面は目と鼻の先まで迫っている。  この角度で地面に接触すれば、まず接地するのは俺の右肩だろうか?   体を動かす事が出来ないのでコントロールする事は出来ないけれど、今となってはそんな事も問題では無いと考えていた。  ―――……あれ……? 待てよ……?  ここまで地面が迫り、言わば俺の死が直前まで迫ってる訳だけど、俺の意識はまだはっきりしている。  俺は意識を一体いつまで持ち続けるんだ……?
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