来世を信じて

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 いや、良くない事ではあるんだけど、いじめと言った行為が今この時に始まった事じゃない。  日本全国どこの学校にも、程度の違いはあってもそれらの行為は存在しているだろう。  他者を貶めて自分を高く見せたがる輩なんて、いつの時代にもいるもんなんだからな。  俺が腹立たしいのは、そう言った輩がいて問題となっているにも拘らず、その事を常に先延ばしにして、無かった事としようとする風潮……制度が蔓延しているって事だ。  自分の受け持つクラスでそう言った事があった場合、その担任は責任を回避する為に、イジメその物が無かった事にしようとする。  もしも、その担任が責任感の強い人物であったとしても、今度は学校がその事実を隠蔽する。  学校責任者である校長が、その責任回避を目的として事実を伏せて公表しないのがまかり通っている。  そしてもしも、校長や学校が正義の意志を持っていても、その上の教育委員会が、更にそこが公表しようとしても、文科省や政府自体がその事を隠そうとする。  つまり国自体が、自分に都合の悪い事を隠し通そうとするシステムに沿って成り立ってるんだ。  そんな政府の有る国、そんな世界で、俺はこれ以上生きていく事が出来そうにない。  仮定の話を重ねても全く無駄だって思ってる。  でももし、この国から飛び出して他の国へ行く事が出来たなら……俺はひょっとして、俺の知らない別の人生を歩む事が出来たんだろうか……?  だけど今の俺に、他の国でやっていく自信なんてある訳が無い。  言葉も違う、考え方や文化も違う国でなんて、今や人間不信に近い俺がやっていけるなんて想像もつかない事だ。  今の俺に選択出来るのは、この世界から飛び出して、永遠に違う世界へと行く事だけなんだ。
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