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エアー・ダイビング
橙色に染まる空中へと放り出された俺の体は、ゆっくりとした弧を描いた後、そのまま重力に従って地面へと落下を始めたんだ。
死を覚悟していた俺だったが、色々と考える内にそれを取り止めてやり直そうとした矢先に、本来の目的を遂行せよとでも言うかの様に、俺の体を突風が持ち上げて空中に放りやった。
まるで背面飛びをしている様な格好の俺は、目に飛び込んでくる上下逆さまの世界を、不思議な感じで見つめていた。
オレンジ色に染まりつつある地面と、その光を受けて同じ様な色に染められてゆく空。
だけどその光景は、俺の知っている地面や空とは当然違う。
それこそ俺を中心として三百六十度、視界を遮る物がない状況なんだ。
見える物が違っているのも当然だと言えた。
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