19人が本棚に入れています
本棚に追加
―――ああ……綺麗だな……。
俺は今の状況を冷静に把握する前に、まずそんな事を考えてその光景に魅入っていた。
まるでスローモーションの様に流れて行く光景は俺の視界に次々と、でも少しずつ姿を変えて飛び込んできた。
俺はしばらくの間、その風景を眺めていた。
そして俺は、同時に強く認識する事となっていた。
……ああ……俺は死ぬんだな……と……。
校舎の屋上から、自分の意志だろうが不意の事故だろうとダイブしたんだ。
到底助かる見込みなんてある筈がなかった。
高さ二十数メートルと言えば、人が一人死ぬには十分な高さだ。
真下は植え込みなんてないコンクリート敷きの通路……。
余程の事が起きない限り、助かるなんて奇跡が入り込む余地なんてない。
―――……ん……? あれ……? ……眺めている……だって……!?
その時俺は、強い違和感に襲われたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!