4人が本棚に入れています
本棚に追加
ハザードランプを点けた川田の車が見えてくると、野口さんは息を呑んだ。
確かに後部座席には人影があった。
男の輪郭である。
嘘じゃなかったのだ。
野口さんは車を停めると、エンジンを点けたまま中から飛び出して走った。捕まえるつもりだった。
運転席にいる川田と挨拶をしないまま、後部座席のドアノブを握りしめた。窓から中を覗くと、自分にソックリな男が真っ直ぐに前を向いていた。
野口さんは勢いよくドアを開けた。
しかしそこには誰も乗っていなかった。
「どうなっているんだ? さっき人が見えたぞ」野口さんはルームミラー越しに話し掛けた。
「また消えちゃった・・・・・・マジで怖い」ミラーに映る川田の顔面は蒼白になっていたという。
最初のコメントを投稿しよう!