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野口さんはこの時、あることに気づいていた。
川田が車を停めている場所は、1ヶ月前とほとんど同じだったのである。
似た景色が延々と続く海岸線の道路で、なぜ同じ場所であることが分かったのかというと、海と道路を隔てるガードレールに花が手向けられていたからだった。
運転手の居眠りが原因で観光バスが海に飛び込むという凄惨な事故の起きた場所であることは、地元民の記憶に新しかった。
偶然同じ場所で不思議な出来事が起きただけなのだろうか? 仮に霊が出やすいポイントだったとしても、なぜ俺の姿で出る必要があるんだろう? 野口さんは今もずっとそのことで悩んでいるという。
そしてまた電話が掛かってくる日をビクビクしながら日常を送っている。自分に対する何かの警告ではないだろうかと思いながら。
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