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ハルトの戸惑い
俺はライン公爵家の次男。
強い魔力を持って生まれた為将来は有望だと言われている。
しかし、人と違って生まれた為ずっと孤独だった。
唯一の理解者は兄上だった。
兄上は騎士団に所属している。とても優しく強い人だ。
今年になって貴族学校へ行くことになった。
爵位など関係無く学べるという話だったが、やはり公爵家と言うのと魔力持ちと言う事が邪魔をして孤独だった。
もう諦めて魔力を上達させることに専念していこうと決めたある日、俺に関心を示すヤツが現れた。
普段は放課後に魔法訓練施設にはほとんど近付く人間は居ないのに、気配がするのだ。
「そこで覗いているやつ。出てこいよ。」
そう言うと、
「あの、すみません。つい好奇心で……。」
そう言って振り向いたのは見たことのない綺麗な金髪の少し華奢な男の子?だった。
ここが貴族学校の中じゃなかったら性別を疑ってしまうほどに綺麗な顔をしていた。
つい魅入ってしまったが、
「お前……見ない顔だな。」
そうやっと言うと、
「はい。明日からこの学校に来ることになりました。アラン・リアムです。よろしくお願いします。」
やはりここの学生らしい。
なんとなく魔力持ちな気がするな。
「ふーん。俺はライン・ハルトだ。お前魔法使えるのか?」
そう聞くと
「えっ?いやわ、僕は魔法を見るのも初めてだから!」
何故か慌てた様子だった。魔法になれてない様だしな。
「試したこともないのか?」
いつもなら無関心でいる俺だが、この時は珍しく教えてやろうと言う気になったんだ。
「試す?どうやって?」
そうして簡単な魔法を教えてやると、俺の思った通り、リアムは魔法が使えたのだ。
色々学校の事を教えてやると、とても嬉しそうに笑うのだ。
うっかりまともに顔を見てしまった俺は、不覚にも赤面してしまった。
「ライン君えっと…」
家名を呼ばれてなんとなく名前で呼んで欲しいと思い、
「ハルトだ。」
と反射的に言っていた。
「ん?ハルト?」
驚いた顔をしていた。更に距離感を縮めたくて
「呼び捨てでいいよ。」
と言うと、
「わかった。僕の事もリアムって呼んで。
ハルトがこの学校に来て1番に出来た友達だよ。これからよろしく。」
なんともいい笑顔で返事が返ってきた。
思えばこの瞬間に落ちていたんだろう。
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