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 しかし、いくら後から憐れんで供養をしても、その恨みつらみが全て癒されたわけではない――ということか。  でも、と思わず口をはさんだ。どうして、その恨みの犠牲になったのが、何の関係もないはずの人たちなんでしょうか。  「……生きていること、そのものがうらやましかった、のかな。だって、自分たちはひどい死に方をしたわけでしょう? 家族とも離れて、たったひとりで」  それで招かれてしまったのでは、と。眼鏡の奥の目を伏せて、先生は静かにそういった。  百年たっても、千年たっても。消し去ることのできない恨みは存在するんだと、心の奥が凍えたはなし。
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