2人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の記憶。
大学生の夏休み、夜どおしバカみたいなことして遊んで、空が白み始めるころ家に帰った。
早い夜明けと、タバコの煙。
そして――。
―――
僕は家に帰り着くなり、灯りをつけないままキッチンの床に座り込んだ。
壁に背を預けて、タバコに火をつける。
明るくなり始めた部屋の中、漂う煙をぼんやりと眺めていると、夏だなと思う。
夜が短い。
ああ、今年も夏がやってきたんだなぁ。
なんて考えていたら、奥の部屋のドアが突然開いた。
「っ!?」
大学生のころから借りているこの2Kの部屋で僕はひとり暮らしをしていて、他の誰かがいるはずはないんだけど。
「おかえり、ユウマ」
「リカ!?」
そこに立っているのは、眠そうな腫れぼったい目をした、別れたはずの元カノだった。
最初のコメントを投稿しよう!