おかえりとさよなら

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学生だった当時は、昼夜逆転した生活を送っていたから、日が傾き始めるくらいからが主な行動時間だった。 食事も適当で、集中して描いていると、空腹には気づかなかったりする。 でも深夜あたりになると、構内に残っている誰かしらが、なにか食いに行こうと誘いに来たりして、作業を中断できる連中でつるんで外に繰り出したりもした。 食事だけのつもりだったのにアルコールが入って、そのままアトリエには戻らず解散になることも少なくなかった。 適当で、でも真剣で。 厳しくて、でも優しい。 そんな時間が、当たり前にあった。 「ねえ、なにか話してよ」 リカの唐突のお願いに、僕は戸惑う。 「なにか、って?」 「なんでもいいよ。ユウマの声が聴きたいの。子守唄みたいでちょうどいいから」 子守唄みたい、という言葉に僕は苦笑した。 そういえば、リカはよく、僕の話を聞いている途中で寝ていたっけ。 記憶の中のリカは、口をわずかに開けて、あどけない顔ですやすやと気持ちよさそうに眠っていた。
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